8月23日をもってオタクイラストのシバき歴二年になるこの自分が、今まで実際に行ってきた練習方法と、それについて思ったことを書いてゆく。(オタクイラストをシバく=オタクが好きそうな二次元のキャラクターを描く)
忙しい時期などは一カ月全く描かないなんてこともあったが、そういう時期を除けば二年間殆ど毎日絵を描いていた。
忙しくてどうしても絵が描けない日は、空いた時間を見つけては絵に関するサイトや、pixivに落ちている講座を閲覧して、情報だけでも集めるように努めていた。
休みの日は一日中絵を描いていることもあった。頻度としてはそれくらい。波が激しすぎるのでトータルとして見ればそこそこ絵を描く程度か。
そして三年目に差し掛かるにあたり、今までの二年間の練習方法を、一つの区切りとして備忘録代わりにまとめておく。
これから絵を描き始めたいという人の参考くらいにはなるかも知れないが、まあ、結局のところ、ふじさきゆうやという一個人の感想に過ぎないので、マジになって読むよりかは肩の力を抜いて暇なときに読んで欲しい。
「こういうことを二年間やったらこんな感じになりました」という報告を見る感覚で軽い気持ちでこの記事を読んでもらえれば幸いだ。
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- 前書き
もう一度書いておくが、この記事は、飽くまでも個人の感想を書いているものなので、いい練習についてはもちろんだが合わなかった練習についても触れている。
当然、絵も勉強と同じで人によって合う練習、合わない練習がある。
合わなければ他の練習方法を試してみるべきだし、合えばその練習方法を継続する方がよい。
もし仮に現在読者のやっている練習が、この記事内で「合わなかった」と言われていても、それを見て落ち込んだり、「俺は間違っていたのか・・・?」と思う必要はないだろう。
君にとって、合う合わないを決めるのはふじさきゆうやではなく、君自身なのだから。
- 俺理論~ひたすら描き続ければ上手くなるというのは幻想~
まず、練習方法を語る前に、ふじさきゆうやの絵に対する考え方から書かねばならない。
自分は、絵の勉強をしていくうちに絵とはずばり知識があってのものだと考えるようになった。どんな練習方法も知識がない状態でがむしゃらにやっても、大した効果が出ないんじゃないかとすら考えている。
「描き続ければ上手くなる」という言葉の真意は「(正しい知識を蓄えた上で)描き続ければ上手くなる」だと思う。
2chなどでよく見る「〇年絵を描いているが上達しない」という人は、本当に文字通りにひたすら描いているだけで、そういった知識の吸収をおろそかにしていたのだろう。
一部の才能のある者は別として……身体の可動域だとか、俯瞰から見た時のモノの見え方など、知識があって初めて違和感なく描けるものだと思う。
これを理解しないうちに、ただひたすらに絵を描いても、軟体動物のような化け物を錬成してしまったり、軟体動物とまではいかなくても説得力のない不気味な絵になってしまう恐れがある。
知識の不足は、本来不自然なはずの絵を『不自然』と認識できなくなってしまう恐れもある。
極端な例え話をする。
パソコンが重くなったり、エラーが頻発するようになったとする。パソコンの知識がある人は、調子が悪くなってしまった原因や、それを解決するための方法が分かるだろう。
深い知識がなくとも、多少の知識がある者は「〇〇が問題を起こしているのかもしれない」「~~をすれば直るかも知れない」と大体の見当をつけることが出来るだろう。
だが、パソコンの知識が全くない者は、なぜそうなっているかという原因を突き止めることはおろか、最悪の場合、そもそもパソコンの調子が悪いことにすら気付かないかも知れない。
絵でもこういったことがあり、最低でもまず違和感に“気付く”ことが出来るだけの知識を蓄えることが一番大切だと自分は考えている。
絵を描く人にとって、『直立した状態の人間は、肘がヘソよりも上の位置にあって、手が大体股間よりもちょっと下に位置するところにある』といった知識は、知っていて当たり前かも知れない。
知識のない人は、そういった“当たり前の知識”を得ることが出来ず、肘をヘソのあるところまで伸ばしすぎてしまったり、直立状態であるにも関わらず手が膝に届くくらい腕を長く描いてしまったりする。
「デッサンをやれ」「ヒトカクに行け」は、言い換えればそういった当たり前の知識を身につけろということだと解釈している。
(尤も、人体の比率に関して言えば、知識を得ずとも模写など続ければ自然と身につ蹴ることは出来るだろうが)
模写についても「知識がないとダメ」というのが自分の考え方。
模写は、見本がある以上、知識がなくともひたすら模写するだけでも上達はするだろう(そこに程度の差はあれど)。
しかし、根本的なことをキチンと理解して描かないと効率がガクンと落ち、場合によっては練習と言えるほどの効果が得られないのではないかとすら思う。
模写というからには当然“見本”があるわけだが、体の構造などの基本的な知識が抜けていれば、その見本が「なぜそういう見え方になっているのか」を完全に理解をすることが出来ない。自分の“知識”と照らし合わせて、初めて「成る程!だからこのポーズだとこんな描き方になるのか!」と理解をすることが出来る。
数学でもそうだ、自分の答案用紙と解答集とで見比べて「ここが間違っていた」「この部分が足りなかった」と、間違っている部分を認識・反省し正すことが出来る。
知識が抜けている場合、数学でいうところの『自分の答案用紙』がそもそもない状態になってしまうようなものだ(と勝手に思っている)。
下手な例えはともかくとして、一言でいうと「何よりまず知識が大事っしょ」というのが自分なりの考え。
・デッサン模写
というわけで、まずは人体に関する基礎知識を学ぶことにした。腕、脚の可動域など、人体の比率、描き方…。
ここでの模写は、アニメや漫画の模写ではなくデッサン本の模写。
自分はまず一番最初に『やさしい人物画』(アンドリュー・ルーミス著)を購入した。
これは大変素晴らしい本だと思うが、 最初に学ぶ本としては如何せん難易度が高すぎた。読み進めていくうちにレベルが違いすぎることに気付き、これを使って学習するのをやめた。
持っていて損をすることはないが、いきなりこの本に載っていることをやろうとすると、上手くなる前に絵が嫌いになってしまう。
しかし、上手い人は皆この本で勉強をしているので、いつかやるつもりで取り敢えずは別の本に手を出すことにした。
もっと簡単なものから始めるべきかと思い、次に『リアルなキャラクターを描くためのデッサン講座』(西澤 晋著)を購入した。
アニメーターの人が書いた本で、本職の目線で描き方を解説してくれている。“画”として観た場合のカメラの位置取りなどについても解説しており、 大変勉強になった。(カメラの位置などは、自分にはまだ持て余す知識ではあるが)
使い方はひたすら模写、模写、模写。
ルーミス本をやるための土台作りの目的で購入したが、その期待に十分応えてくれる一冊だった。
同時期に『スーパーマンガデッサン』も併せて購入したが、こちらの方は崩した時の描き方が知りたいときにのみ辞書代わりに使用するだけで、中身には全く手を付けていない。
まあ、飽くまでも自分がやった本を書いているだけなので、基本を学べるのであれば何をやっても良いのだろう。それこそ、ヒトカクでもいいだろうし。
とにかく、「これらを基本をなくして上達は有り得ない」と自信を持って言える。
・円をひたすら描く
絵を練習するとなった時、最初は分からないことだらけでやはり情報収集は不可欠。自分も熱心に情報を集めた。時には、2chや知恵袋で先人の練習方法を聞いたりもした。すると、必ずと言っていいほど「まずは円を描け」という人が現れる。
この円をひたすら描くという愚行を有効な練習方法と主張する人がいるが、自分は練習のうちにすら入らないと思う。でも「何にしろまずはやってみる」というスタンスなので、バカバカしいなと思いつつも円を描いた。
で、その結果やはり意味がないなと思った。
自分は、絵の上達において落書きであれ何であれ、どんな練習でも全く無駄なことはないという考えであるが、これだけは本当に無駄しかない。そりゃあ、やれば多少は経験になり線がキレイになったりするかも知れない、だがあまりにも時間が無駄。他の方法で練習した方がサクッと上達する。
インターネットだと、この行為をさも王道の練習方法のように勧めてくる人間が場所問わずいる。また、これを有効な練習方法としてまとめているサイトもあるくらいだ。ネタか本気かは分からないが度々ヨイショされるこの方法。信仰するあまり盲目的に続けている人間がいる。
「絵の基本は円。そして一番描くのが難しいのは円。円をキレイに描けるようになれれば絵が上手くなる」と、彼らは一見それっぽいことを言って信者の獲得に励んでいる。
絵を描くのが上手くなれば円を描くのが上手くなるかもしれない。しかし、円を描くのが上手くなっても絵は上手くならない。逆は成立しない。
円を描くことで多少なりとも絵が上手くなるのであれば、フリーハンドで綺麗な円を描ける数学の教師は絵が上手くないとおかしい。
綺麗な字を書けるようになりたい、と思った人が『くさかんむり』をひたすら書く練習をするのだろうか。『円をひたすら描く』…やってることはそれと同じ。
上手くなりたいと思ったら絵を描く、字を書く、それしかない。本質を見誤ってはならない。
円を描きまくることで、練習した気になってそれなりに満足感が得られるのもいやらしい。この行為によって得られるものなど、終えたあとに得られる僅かばかりの満足感だけだ。上達した気にはなっても上手くはならない。
今のご時世、調べればプロの漫画家や、アニメーターのインタビューなどがガンガンヒットする時代だ。
自分も絵を齧る前にそういった人達の体験談などに目を通した。模写を勧める者、とにかく枚数を描くことを勧めるもの、それぞれが成果を感じたであろう練習方法を紹介していたが、この円を描くという方法を推している人を未だかつて一人も見たことがない。
これを持ち上げているのは、実力も知れぬインターネットのオタクだけ…。
全てにおいて胡散臭さが漂っている行為だと思う。
「他の練習と併せてやるもの」「ウォーミングアップにやるもの」という者もいるが、成果が出るのは他の練習のおかげだし、ウォーミングアップ目的なら円なんか描くよりもクロッキーをした方がいいだろうよ。真剣に考えてもいいところを何一つ見出すことが出来なかった練習方法。
天井のシミでも見ながらチクワでも咥えてた方がマシ。チクワ味の空気を吸ってさ。何か閃くだろうよ。
- アニメ絵模写
デッサン本の勉強の前に、実はアニメ絵の模写を練習として取り組んでいた時期があった。一応、当時の自分なりに考えながら取り組んではいたものの、特に上達を感じることは出来なかった。
とは言え、この模写のおかげで多少なりとも線は整っていき、回数を重ねるごとに一応は絵も小綺麗にはなっていった。これを「上達」と呼ぶことも出来るのだろうが、当時は何故か納得することが出来ず、蟠りだけが残った。
時を経て、デッサン本の勉強後に再びアニメ絵の模写を行った。学んだ知識を、アニメ調に落とし込むことが出来るようになったと思う。また、「二次元絵に落とし込んだ場合だとこういう表現になるのか」としっかり納得した上で理解することが出来た。
2chでは「よく観察して線の意味を考えて、模写しないと上手くならない」などとよく言われるが、その言葉の意味がようやく理解できた。
一通り人体の基礎を学んだら、取り組むといいかもしれない。
- ワンドロ(一時間ドローイング)
よく「深夜のお絵かき一本勝負」なんてタグが付いていたりするので、絵を描かない人でも知っているかも知れない。一時間で白紙の状態から絵を描き始めて色塗りまで仕上げるというもの。遅筆解消の目的で、ほんの少しやってみたが20日くらいでやめてしまった。
そもそも遅筆云々の前に、まともに絵が描けるよう努力をすべきだなと思ったため。
結論として、画力を上げる練習を犠牲にしてまでやる価値はなかったが多少は意味はあった。
少ししかしていないとはいえ時間配分を意識したり、線がキレイに描けるようになったりと、今までの描き方を改めるキッカケにはなった。
ワンドロは、忙しい人が自分の絵の感覚を落とさないよう最低限の時間でやる練習して行う分には良いのかもしれない。
余談だが、つい最近まで「ワンドロは構図やポージング込みで一時間で描くもの」と思っていたが、そういうのは時間には含めないらしい。(今までずっと構図ポージング込みでやってたよ。)
- サイト巡回
練習方法というとあれだが、習慣としておこなっていたため一応記載。
外出中など絵が描けない時は、Pixiv講座を始めとする技術や情報が載っているサイトを巡回していた。上手い人の絵を見たりもした。実際、見ただけではすぐ真似ることなんて出来ないんだけれども、絵に関しては有用な情報が転がりまくっているので一番上達の助けになった気がする。
有益な情報が転がりまくっている時代なので、やろうと思えばインターネットに落ちている知識だけでもプロにはなれるだろう。
おすすめのサイトは『KITAJIMAのお絵描き研究所』『もえたつ』など。
他にもたくさんあるが、挙げだしたらキリがない。
- 以降の練習絵(2017/06~)
これだけ好き放題書いて絵を載せないのも寂しいので、直近の絵を時系列順に載せる。
じっくり色塗ったやつが、ことごとく糞な仕上がりになっているためとてもじゃないが載せられない。マシそうなやつをチョイスして載せる。
・6/11
・7/14(ワンドロ)
・7/23(ワンドロ)
・8/6(ワンドロを描き直したもの)
・8/13(80分くらいで描いたもの)
・8/15
三年目は、人体模写はもちろん、『色塗り』『パース』『布』『背景』を重点的に頑張るぞ!!
あと、ロリキャラとジジイも描けるようになりたい。
過去記事
今まで俺が描いたオタク絵の成長記録。 - ふじさきゆうやのブログ
今まで二年間のうち実践したオタク絵の練習方法と、実践した感想 - ふじさきゆうやのブログ
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【その1】最近のオタク絵と画力向上の進捗。(2018年9月〜2019年4月) - ふじさきゆうやのブログ