先日、人生で初めての献血を体験した。近くに献血カーが来ていたので、物見遊山でネタにしてやろうと一発提供してきた。その量は400ml。
場所によっては、200mlと400mlを選べるところがあるようだが、自分が行ったところは400mlオンリーだった。
余談だが、今回の献血体験談をオタクフレンズに話した結果、俺が血液を提供したことを全く信じてもらえず「お前が誰かのために尽くしたり、何かを提供するなんてありえない。嘘つくなや」とバッサリ斬られた。
一体コイツの中の俺はどんなやつなのだろうか。強ち間違ってはいないけれども、結構切り込んでくる野郎だ。
さて、献血は行っていきなり血を抜いてもらうことが出来ず、図書館でカードを発行するように献血カードとやらを発行する必要がある。初めに今までの病歴や体調などに関するいくつかの質問に答えることになる。直近の性行為についても聞かれるが、オタクには関係あるまい。(直接質問されるのではなく、タブレットを使ってYES、NOで答えるだけなので羞恥プレイは特にないぞ)
そういえば「半年以内で不特定の異性・または新たな異性と性的接触がありましたか」という質問があった。これ、風俗もアウトだと思うのだけれども、風俗好きを公言していた担任が「俺はよく献血にいくよ」と言っていたな。今思えば、あいつアウトなんじゃないか。
まあ、風俗嬢は性病検査しているだろうし素人よりもそのあたりはしっかりしてそうだけど。
カードを作ったら、水分補給用の280mlのミニサイズのカフェラテを貰った。
医者に血圧を測られ、「検査用に(注射)一本いくよ」と早速血液を抜かれた。本当に大丈夫な血かどうかを調べるらしい。まあ、自己申告では異常や病気に気付けない場合もあるし当然と言えば当然か。
刺された痛みはそれほどでもないが、まあ自分の腕に針が刺されるところをまじまじ見ると、心なしか痛みが増す気がする。いや、増すね。
自分の場合、検査用の血は右腕から抜かれたが、提供用の血は左腕から抜かれるらしい。何でかは知らんけど、理由を教えてくれないので何か不味いことがあるんじゃないかとビビってしまった。
というか刺されながらふと思ったのだけれども、たまに自分のことを刃物で刺したくなる欲求が湧いてくるのって俺だけだろうか。この記事を読んでいる人はそんな欲求一度も湧いたことがないかな。
自分は、自傷願望などはないので実際に行動に移したりはしないが、体の中の臓物を見たいという欲求と、血液を見たいという欲求、痛みを味わいたいという欲求が湧いてくることがある。
今更血液を流すのがカッコいいとも思わないが、ふとしたケガで出血したら「うお!スゲェ!」って思ってテンションが上がって写メのひとつでも撮りたくなる。痛みか何かで脳内物質かなんかで興奮しているだけなのかな。不思議だ・・・。何なんだろうあの現象。
そんなわけで採取された血液のどす黒い赤色を見て、何だか興奮した。
あと俺の血液って緑色じゃなかったんだな。ちょっと安心した。
検査が一通り終わると「空腹だといけないので血液採る前にちゃんと食べてね」とクッキーをふたつ渡された。
クッキーとカフェラテ、ちょっとした癒しの時間を満喫し、いよいよ献血カーに殴り込む俺。
車の中は案外広く、三人まで同時に採血が出来るスペースがあった。言われるがまま看護婦のおばちゃんに案内された簡易ベッド的なものに横になりその時を待つ。
「どうせ血を抜かれるなら若いギャルに抜かれてぇ」と思ったが、現実は甘くない。俺をベッドに案内したおばちゃんがそのまま施術スペースに乗り込んで、慣れた手つきで道具を用意し始めた。
でもおばちゃんならおばちゃんで上手く針を刺してくれるしいいか。
腕をゴムで縛るときに「初めてなんですね~緊張しないでくださいね~」と言われ、背中をさすられた。これがギャルならよろしいのだが・・・。
(ゴムで縛るだとか、初めてだとか、改めて文にして書くとそういうサービスの店みたいだな。)
腕を固定し「針刺しますので反対側を向いててくださいね~ちょっと我慢してくださいね~~」と針を刺そうとするおばちゃん。
「さっきの(検査用の採血)でお前の得物のダメージは知れた。かかってこい」と調子に乗るのも束の間。左腕に激痛が走る。
予想以上の痛みに「痛ぇぇええ」と声を出して少しだけ体が浮いてしまった。そして針が刺さった自分の腕を見てしまい吐き気を催してしまった。皮膚が針で引っ張られて気持ち悪かった。
俺、明らかに痛がっているのに、おばちゃんはスルーして「結構血管太いですね~血管が太いと早く終わりますよ~」とどうでもいいコメントを投げつけて、淡々と作業を進めていた。このババア、少し怖ぇえ。
いよいよ血が抜かれるわけだが、鈍い痛みが続き中々苦痛の時間だった。元々体温がかなり低いタイプの人間だが、血を抜かれ始めると、みるみる手から体温が失われていくのが分かった。冬に、防寒具なしで外を出歩いたかのように手が冷たくなっていった。
吐き気や、痛みもあるし、体は冷てぇ。生きた心地がしないとはこのことか。
結構グロッキーな状態だったのだが、「全然血液が採れていないので手をグーパーグーパーしてくださいね~」と指示された。力も入らないし、手が冷たくなって感覚がなくなっているのも相俟って本当にキツイ作業だった。相変わらず痛みも続いているし。
予想以上にハードなことをされてちょっぴりだけ献血に来たことを後悔していた。
しばらくすると新たな生け贄(血液提供者)が車の中に入ってきた。その人は俺の隣のベッドに横になった。どうやら俺の担当をしているおばちゃんが、その人の面倒も見るらしい。さながら将棋の二面指しだ。
しかし、その人は俺と違ってかなりの上級者だった。「もうすぐ20
回」と言っていたので今更何とも思わないのだろう。ヘラヘラ笑いながら携帯を弄り、注射を待っていた。
すげえな・・・と感心しながら見ていたのだが、針を刺された瞬間にその人も「うお!」という声をあげていた。
おばちゃんが「痛かったですか~?」と聞くと、勢いよく「今までで一番痛いよ!」とツッコんでいた。流石に刺されなれているからか、俺よりも淡白な反応だったがこれで確信した。このおばちゃん注射刺すのヘタクソなんだなと。
鈍い痛みが続く中、おとなしく血を抜かれていたわけだが、どうやらかなり血が抜ける速度が遅いらしく、おばちゃんがベテラン看護婦らしきおばちゃんを呼んで「何かちょっと変で。ふじさきさんの血が全然抜けないんですよ」などと相談をしていた。ちょっと変ってなんだよ。
ベテランおばちゃんが俺の腕に刺さった針を見るなり「あれ?なんだろうね?不思議な刺さり方してるね?」などと言って俺はますます血の気が引いた。ちょっと血を抜くくらいだし、命の危険が~~なんて思っちゃいないが、ただでさえグロッキーになっている俺にそのコメントは流石に効くぜ。
ベテランのおばちゃんが俺の腕を弄りまわして何とかイイ感じになったらしく、「これで早く終わりますね」と嬉しそうに語りかけてきた。
かれこれ献血カーに入り40分程が経過しようやく血を400ml吸い終わった。献血カーを出ると、ドッと疲れが押し寄せてきた。
受付の人からジュースを二本渡されて、20分程度休憩し、その場を後にした。
血を抜いてから5時間くらいは気分が悪かったが、今こうして振り返ってみると、中々いい経験のように思えてきた。
「血が抜ける」という感覚をリアルに味わうことが出来たのもそうだし、
合法的に、しかも安全に、先述の「血液を見たいという欲求」「痛みを味わいたいという欲求」を満たすことが出来た。
しかも、周りの人間に献血に行ったことをアピれば「デキた人間だな」と思われる。
飲み物やお菓子も、少量ではあるが貰えるし、献血アドヤバいなと思った一日だった。
また機会があれば行きたい。